2カ国目、アメリカ入国!

というわけで、アメリカに入国しました!

アメリカに入って最初の町は、バラック小屋の立ち並ぶなんとも貧しい町。
街中には人種の分からない顔の人たちばっかりで、走る車もおんぼろ。10才くらいの子供がフォード運転してたりする!!
10km手前のカナダとはえらい違いだ。
街中の看板を見てみて、どうやらここはネイティブインデアィンの住む町だと分かる。
何人かと話してみるとみんな素朴で親切で、話す英語もゆっくり。地図の英語が読めない人もいた。
これがアメリカか・・。
とは言え物価が安い! 小さい店にも商品があふれててビールは半額だ!!
気持ちを切り替えていきます!

テントの中では、虫ですらひとりじゃないのにおれはひとりぼっち・・・とか思ってたりもしましたが(笑)
さて!
これからアメリカをひたすら南下していくんやけど、
カナダから越えた国境がロッキー山脈のふもとに出る道で、これからずっと山。
どっちに行っても山! YAMA! 山だ! 山田ー!!

西海岸に出て南下していく道(水色の線)の方が、きれいで走りやすい道らしいけど、
今またもう一度ロッキー山脈を越えるほどの気持ちにはなれないので、
とりあえずロッキーを避けて内陸の平地を進み、しばらくしてからロッキーのど真ん中を通る(黄色の線)ことにします。
そんでもって、この黄色線の道。
地図で見ると完全な平地。ロッキー山脈の東側に広がる盆地と思っていたところが、とんでもない場所!
標高200mくらいの丘が延々続いていて、上って下ったと思うとまたすぐ次の上り。
例えて言うなら生駒山を朝から晩までずっと越え続けるようなもの!

写真で分かるかな? 道がはるかかなたまでずーっと延びてます。そしてロッキー山脈。
一日に5生駒は越えてます。
でもまぁ坂道はいいんですよ・・。 この道を選んだのは自分やからね。しょうがない。
問題は、、風。
一週間前、カナダのカルガリーから南に向けて走り出したときから完全な向かい風になった。
車に乗ったり歩いてる時は、風はそこまで気になれへんけど、自転車にとっては一番の敵なんdeath!
さえぎる物のない地平線の向こうから、地鳴りのような暴風がぐおぉぉーっとぼくと自転車を押し返し、
一時も休むことなく狂ったように吹き荒れてます。
キツイ坂用の一番軽いギヤでなんとか前に進めるくらい。
1分ごとに突風がくるので、その度に完全停止。下り坂でもこぎ続けないと止まるし、上り坂なんて押して上るしか方法がありません。
風にあおられて路肩に地面に転げたときあまりに腹立って、
「¥#$%&’&%$#”#$%&ーー!!!!」
と叫んだら、空気が乾燥してるのでくちびるがパキっと割れ・・・
それまで山道でも一日100kmくらい進んでいたのが、朝から晩までこいでも50km、40km・・という惨状。
ヂギジョー!!!!
しかも毎日ドピーカン!
カンカン照りの中、木がまったく生えていないので休憩するところもなく、
町がないので水も底をつき、汚い川の水を帽子を押さえて口に含むだけ。
これはキツイ・・・
身も心もボロボロでなんとか、家が数軒あるだけの集落にたどり着いた。
目に入った日用品店に入り、女主人に、なんやねんこれどないなっとんねん!責任者よべ!!
とグチってると、店の奥にちらりと見えたバドの影。アメリカじゃどこでもお酒売ってます(笑)

やっぱりバドだぜ!!とか言いながら買ったその場でビールをガブガブ飲んで、
まったくやってらんないよ~と終電間際の新橋サラリーマン風にクダを巻いてると、
見兼ねたママがやさしく慰めてくれるんです。ネットも使わしてくれるんです! しかも最高のキャンプ場所まで紹介してくれ・・。

砂漠の女神だよ!!
かなり滅入ってただけに、やさしさに触れて甘えんぼさんになってしまったのか、ママの近くで明日は休養することに決めました。
そして砂漠の女神はなんと!

ダイハツの車に乗ってるんです!!!
旅が始まってから日本車はいっぱい見たけど、ぼくが作っていたパッソ、BB、そしてダイハツ車は一台も見てません。
いつ見れるのかと楽しみにしてたらなんと女神が・・・!
感動に酔いしれてまたビールがすすむ夜でした。
次の日、えらい外が静かやなーと思いながら目覚めてテントを出ると
空一面どんよりした灰色の雲に覆われて、、か、風が、、、
風が止まってる!!
町の誰に聞いても、毎日風は吹き続けるって言ってたのに、今日に限って完全停止!
よりによってもう昼前! そして二日酔い・・・ せっかく風がやんだのに今日はこげまへん・・・

と、こんな日記を書いてるところにダッジの4WDがやってきた。
カナダからアメリカを旅行してる老夫婦で、夕食を食べるためにここに寄ったらしい。
ちょこっと話した後にBBQを作りはじめ、パソコンをカタカタしてるぼくの横でひさしく食べてない肉の香りがじゅわわーと・・・
そしたら待ってましたのお呼びの声!! 3週間ぶりに食べるパスタ以外のめし!!
200gくらいある肉の塊とスチームドベジタボー!ポテトサラダに白や緑の森!!(カリフラワーとブロッコリー)
食後にはチョコレートとブレンドティーまで!!
下品だとは思いつつも、獣のようにがっついてあっという間に完食。
お互いのことをいろいろ話しあってみると、お父さんはネイティブインディアンで、
週末にイエローストーン国立公園で開かれていた「Sun Dance」という太陽の恵みに感謝し、
4日間飲まず食わずで祈祷し太鼓と踊りを捧げつづける祈祷祭を主催し、
これからカナダの家に帰るらしい。
自分のマインドのために、毎年こうして旅をして祭りを続けているんだ。
静かに語るお父さんはとても誇らしげで、その裏側で失われていく民族の寂しさが、ちらっと見えた。
いろいろな国から人が集まるお祭りらしいけど、決してヒッピーが遊びで集まるようなものではないと思った。
失われていく民族の誇りを伝えて、なんとかして残していくため、60才を越えても毎年数千キロの旅をしているんだろう。

そこから話が弾み、旅の目的や楽しみ、車についてなどいろいろ話した。
お父さんは独特なマイペースながらも、小さいこと気づいて気を遣ってくれる視野の広さ、やさしさ。
お母さんはよく働いてお父さんに尽くし、すべて用事が終わってからそっとタバコを吸う。
気をゆるしてリラックスした時間がゆっくり流れ、ぼぉーと空を眺めて、、 ダッジは次の町まで走り去っていった。
なんだろう!?
すごい好きになってしまった!!この短時間で!
打てば響く。って感じかな?
こっちが人見知りして黙ってたら何も起きひんけど、ちょっと勇気を出して相手に踏み込んでいけば
こんなに短時間で言葉も足りてないのに、心と心が通じ合う。
丘と風に打ちのめされて始まったアメリカ。
そのアメリカが、旅するというのは観光することではなく、出会うことだと教えてくれたような気がします。
今日はきれいに終わります(笑)
| 旅の準備 | 14:24 | comments:9 | trackbacks:0 | TOP↑
なんか、素敵。いいね。
私も、少しの勇気を持って、色々とチャレンジしてみます。
辛く、過酷な事が多い程、良い時間は輝いて後々、思い出に残るんだろうね。
素敵っす。
| NAO | 2009/09/05 22:33 | URL |