北米ハイライトに相応しい、汗飛び散る男の戦い ~ヨセミテ国立公園突入編~
前回日記を更新した、アメリカ中西部・アリゾナ州から西へ西へ。 南部カリフォルニア州へ!
と意気込んだものの、雪の中でのキャンプなどが堪えてか、風邪をひいてダウン・・。

だましだまし走ってきたものの、Love Lockという恋愛至上主義的な名前の町で療養生活に。

これ、犬を散歩させるインディアン。

この旅初のモーテル!
この手前の町で出会った人が、これでおいしいものでも食べなさいと二人にくれた20ドル。
ありがたくモーテル代に使わせていただきました。
チェックインしてすぐさま横に・・・はならず、せんならんことが山ほどある!

またしてもこの旅初の湯船! お風呂に入りながらの洗濯。一石二鳥。まねしても良いよ。
モーテルでダラダラしても風邪は治らず、モーテル代高いので結局次の日は走行。

タ・・タランチュラ!?

とりあえず次の町まで行こうとしたものの、天気が急激に崩れはじめ、日本の台風クラスのストームがあろうことか向かい風で吹き荒れる!!
舞い上がった砂が砂嵐になって飛んできて、痛い。 ジテンシャコゲナイマエムケナイ・・。
一番軽いギアに落としても漕げないくらいの暴風の中、3時間こいだり押したりしてなんとか町にたどり着く。
たどり着いた町でマクドに入る頃には暴風が暴風雨に変わり、窓ガラス一枚隔てて現実逃避。
疲れ果てて座ったまま眠りにつくデボやん・・
どうしようもない絶望がぼくらを包んだ・・
その時、女神は現れた!!
さっき車の中から自転車押してるあんたたち見たわよ。と現れたステファニーおばちゃんが、ガレージの車の荷台でよかったら泊めてあげるわよ。
とのことで、ありがたく好意に甘え、雨の中突撃隣の晩ごはん!

ちっさい事やけど、毎日かかさずやってる事があって、キャンプ場所に名前をつける。そしてテントに入るときにはただいまと言う。
今日のホテルは「ステファニーピックアップホテル」 ただいま。
風邪と暴雨風の中を走った疲れを癒すため、作った料理はそう、あれ!

中国4000年の歴史が誇る「紅茄炒蛋」!! (+野菜)
中国の一般人にとって最もなじみが深いけど、なぜか日本の中華料理屋では目にしないこの料理。シンプルすぎてお金がとりづらいのか?
これを日本に帰って作ろうとした旅人は多いけど、ちょっとした工夫がないとあの味は出せまへん。
日本で作る練習してきてよかったー!! 吃好了!

さて次の日、嵐は去り、最高の朝焼けに包まれる。
この町を出ると峠の上りに入る。そしてそれを下ったところにもうひとつ峠。その頂上が、目指すヨセミテ国立公園の入り口。
しかしこのふたつの峠、これまでのモノとは比べ物にならない峠なのである・・。
町の標高が1200m。
ひとつ目の峠Anchorite Passが、標高2300m。
2000mまで下って、ふたつめの峠、Tioga Passが、標高3030m。
そう! ふたつとも1000mアップの峠なのであるのである!!
まぁ、これを読んでるだけではそのしんどさはなかなか伝わらんとは思うけど、朝起きて坂道を上り始めて頂上に着くのが夕方、もしくわ次の日・・。 というとんでもない長さなのであるのであるのである!! とにかく長い!きっと辛い!たぶん泣きたいくらいしんどい!!
そんな峠を前に、まだ体調の優れないぼくはいったんデボやんと別れることに。
風邪を治すための休養、自転車の整備。それともうひとつ。
ふたつの峠を越えて入るヨセミテ国立公園は、なにやらすごいらしい。
そんなすごいところにワイワイと入っていくよりは、景色のいいでは自転車を止めて飽きるまで景色を眺めたり、それでも足りないときはテントを張ってキャンプ。
ひとり静かに最高の景色に包まれたい。味わいたい。
何より、旅というのは一人ですることに意義があると考えている。一人ですることこそが冒険であって、複数になるとそれは遊びでしかなくなる。
すごいしんどいことも人といればしんどさはぼやける。 その分、最高の景色の意義も半分になってしまうとぼくは考える。
ので、デボやんには悪いけどいったんここで別れて先に行ってもらい、ヨセミテを出てどこかで合流することに。
一日休養をとってさぁひとつ目のAnchorite Passへ!
最近のお気に入りBGMはガールズスカパンク。ヤングでポップでキュートなスカパンクを聴いてるとすごい安易にやる気が出る。
テクノとかやとリフが延々とループして頭おかしくなりそうやし、スカジャズレゲエエレクトロやとそんなゆるい気分じゃない!ってなるし、
かといってJ-POPとかロックやと合唱してもうて窒息死してまうし・・。
ノリノリでモエモエなスカのバックビートにあわせてペダルをこいでくわけです、
今のいち押しはInsk@t。100万人に1人くらいしか知らないでしょう。

40kmの上り坂を5時間かけてひとつめ制覇!!
勾配がゆるく、車も1時間に1台くらいしか来ないので気持ちよく登れた。

散弾銃で撃たれてのけぞっちゃってます。
ハンティング大好きアメリカ人が車の中から撃ったんでしょう。 流鏑馬か!!
峠を越えて視界が開ける。峠の向こう側は大平原で、その前には壁のように聳え立つ山脈! おとといのストームで雪を被ったその山々は、視界の右はしから左はしまでずーっと続いてる。
これがアメリカで最も険しいとされる、シェラネバダ山脈。
この大パノラマのなか、風は無く、完全な無音。
目の前の大山脈に睨みを聴かされたように、キーンと張り詰めてるひんやりした空気。
この景色を見た瞬間、大きく息を吸ってそのまま息を吐くことができなくなり、思わず自転車を降りた。
なんという豪快な静寂!!
ゆっくり静かに息を吐いていく。
はぁ、、もうむり、、、

おつかれー!
こうゆう時はビールです(笑)
キャンプしたかったけど、あいにく水と食料が無く、今日中に次の町まで走らないといけなかったので、おやつがてらにかんぱーい!
日本では絶対言わなかったあの乾杯の言葉、おつかれー。
今日は自然に口をついて出ちゃいました。
地図とコンパスで確かめてみると、上の写真の一番高いところらへんを超えていく次の峠、Tioga Pass。
MTBメーカーのタイオガ。あれはここから名前をとってることでしょう。アメリカでも有名な峠。
あの険しい雪山の向こうにはいったいどんな景色が広がってるのか。
もうそれが気になって、想像して、楽しみで楽しみで仕方なかった!
こんな純粋な好奇心は今までない!
この日は、タイオガ峠にさしかかった雪山の真正面でキャンプ。キャンプ禁止の場所ですが(笑)
さて、ひとつめのAnchorite Passは40km走って1000mアップ。
そしてこのTioga Passは、20km走って1000mアップ。
ということは、、、
上りの角度が倍!!
ところどころ10%にもなるような急坂! はるか遠くの雪山の頂上に向かって細ーく延びる道。
カナディアンロッキー、イエローストーン、初雪降ったユタの山脈。
比べ物にならない辛さ!!

4時間かけ、山の中腹に入る頃には遠くに見えてた雪景色がすぐそこまで!
雪景色の中をTシャツ姿でハァハァ進む。
ペダルは回すというより、右、左、右、左と半回転ずつ力を込めて踏む感じ。
おかしくなってたんかな?
もう楽しくて楽しくて仕方なかった!!
真っ青な空の下、緑と白の山脈。三色だけの風景。
そこに人力で挑む自分がいる。
ロウソクのように命の炎が燃えてるとしたら、ゴウゴウと音を立てて燃えてると思った。
命を燃やして、自分の持ってるものすべてを今この雪山に向けてると思った。
そして、この最高な景色、このしんどさが終わらんとってほしいと心から願った!!

むっちゃくちゃしんどい! でも、ちょっとずつ楽になってきてる。
もう頂上が近づいてきてるのが分かる・・。

10%近かった急坂が4%ほどになり、ペダルが回りだす頃、山上湖が現れた。
車が通り過ぎるとまったく音が無くなり、 キーンという無音の音が頭の中で響く。
なにひとつ足す必要がなく、なにひとつ引く必要も無い、、 最高の景色!
最高の景色と最高の充実感の中、ついに終わりが見えてきた。

Tioga Passの頂上、そしてヨセミテ国立公園の入り口!
アメリカ人がイエローストーンと並んで一目置く、この国立公園。
いったい何が自分を待っているのかまったく想像もつかないドキのムネムネ!胸のドキドキ!
とはいえ、まずは記念撮影。
とおもったら、タイオガ峠の記念碑は数日前にガケ崩れで壊れたらしく、しょうがないので自分で作ってハイチーズ。

標高3030mです。はい、計算まちがってます(笑)

峠を越えると一気に下り!!6時間上った分楽しませてくれよー!
と思うけど、景色がよすぎて進んでは写真とって・・の繰り返しでなかなか下りを楽しめません(笑)

このヨセミテ国立公園のあるシェラネバダ山脈は御影石の地盤。
ここで事故って死んだらそれはそれは大きな墓石となることでしょう・・。

坂を下ってる途中でであった彼。
アリゾナインディアンの血を引くらしく、自転車のフレームには毛皮を巻いてます。
荷物はテントとギターと獣の毛皮、小さい水のボトルだけ! これだけでニューヨークから旅してるとのこと。
「めし? そんなの誰かがくれんだよ!」

高さ800mの岩。あまりにでかすぎて写真じゃ分かりづらいですが、小田原から箱根峠のてっぺんまでと同じくらいの標高。
タイオガ峠の標高3030mから、標高1200mのヨセミテ国立公園の中心地ヨセミテバレーまでいっきに下るのかと思いきや、、
山の中を上って下りてを繰り返し、下りを楽しむところなんてほとんどなく、10回くらいの山越え!
地図上では35kmほどの道路が、実は70km以上もあるというまさかのトリック!
ヨセミテ国立公園東端のタイオガ峠から西端まではそんな感じで、そこから南に折り返し、30km以上の崖っぷちダウンヒルで一気にヨセミテバレーへと下っていきます!

下りに入ってすぐ、妙にムシムシして変な臭いも気になるなーと思ってると、見渡す限りの焼け野原・・。
アメリカは空気が乾燥してるので、雷とかだけでなくタバコの吸殻とかちょっとしたことですぐ山火事になる。
ぼくがイエローストーンを出てすぐにも、山火事でごうごう燃えて映像がニュースで流れてました。
夕焼けのオレンジ色に焼け野原が赤く染まって、とんでもなく怖いものに追いかけられてるような気分にさせられる。
そこから、
どどどかーん!!!
と、30kmを下るとそこはヨセミテバレー!ヨセミテ渓谷!
ヨセミテって名前は聞くけどいったい何があんの? どんなとこ??
そうですよ、ぼくも行くまで知りませんでした!!
日記が長くなっちゃったのでとりあえず今回はさわりだけ・・・
地盤の変動を繰り返し、でき上がった山脈地帯に雪解け水が流れ込んで川となり、岩山を侵食し、12000年前にほぼ今現在の風景になったこの渓谷。
この左右のガケの高さ、なんと1000m!1kmです!
垂直に切り立つがけの下を、右へ左へ蛇行を繰り返すヨセミテ川。その周りに広がる深い森。
うだうだ言ったけど、これだ!

This is ヘブン!!
詳細は次回を待て!!
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| 2 U.S.A | 05:14 | comments:18 | trackbacks:0 | TOP↑
やった~
一番乗り~♪
ぜんぜんブログの更新がなかったから心配してたよ~
風邪引いてたみたいやけど、元気そうでよりやわ
いつ見てもイイ写真撮ってるね~
まるで自分も旅してるみたいな気分にさせるよ
これからも楽しみにしてるよ!
あとビール旨そうやね~「おつかれー!」
| にゃんちゅう | 2009/10/29 10:08 | URL |