耕す人たち ~水じゃない、努力だ!!編~

山岳地帯から降りてきて、どんどん山から離れてきた。

土漠(土の砂漠)のトゲだらけの灌木をむしるように食い尽くすヤギ・羊。
そりゃ砂漠化も進行しちゃうよー

舗装が浸食され、一台分の幅しかない細い道が続く。
田舎の交通機関は長距離では大型バス。排気ガスをまき散らすヤツ。
中近距離はおんぼろベンツの乗り合いタクシー。ものすごい排気ガスをまき散らすヤツ。
そして、野良仕事や水場への往復に使われる農家の足、一家に一台ロバ車。エコなヤツ。
村間の距離が延びるとロバ車がラバ(ロバと馬の合いの子)車、もっと距離が延びると馬車になる。

参考写真:ロバ車
そのロバ車がアスファルトを走ると、ヒヅメでアスファルトを痛めてしまう。
そのため田舎では車道の外側が半分ほど舗装されておらず、ロバ車はそこを走るようになっている。
しかし道路は劣化するにつれ舗装が両側から削れ、車道はしだいに細くなっていく。
再舗装の工事も田舎ではなかなか行われず、結果一台分の幅しかないこんな道路ができあがるという訳。
このような道で車どうしがすれ違う時、
ドライバーは未舗装の部分にタイヤを落としたくないのでまっすぐ正面の車に向かって突っ込んでいく。
そして激突寸前、恐怖心に負けた一方のドライバーがダートに片輪を落とし、
もう一方は勝ち誇ったようにスピードを落とすことなく黒煙を残し走り去っていく。
ここは平和な田舎道ではない。
オンボロとはいえベンツを駆ったエンドレスチキンレースの戦場なのだっ!!
ぼくはといば、幅の細い自転車なものの正面から猛スピードで車が突っ込んでくるとやっぱり怖く、
あえなく路肩のダートに自転車を落とし、車が去ってから自転車を舗装に引き上げるという作業を繰り返す。
急いでないのでいいんやけどね、なんだか敗北感は残る(笑)

農業には適さない土漠。
ただでさえ乾燥してるところに、掘れば掘るだけゴロゴロと無限に石が出てくる。
人々はヤギやヒツジを飼い、ミルクや肉で生計を立てていた。
その家畜たちが残りすくない草・灌木を食い尽くし緑は減り、
大地は保水力を失い砂漠化に拍車がかかるという悪循環。
集落ごとに井戸が見られたので、地下水は確実に存在する。
しかし、乾燥した大地に作物は実らないとあきらめているのか、この地方で畑を見かけることは皆無だった。

そんな中、土漠を開墾し畑を耕す家族見かけた。
トゲトゲの灌木を積み重ねヤギヒツジたちに食べられないよう柵にして、
石をひとつひとつ手作業で取り除いたであろう畑。かたわらにはうず高く積まれた石の山。
葉はカサカサに乾燥しながらも、食べごたえのありそうなトウモロコシが実っていてうれしくなった。

自転車を止めそんな風景を眺めていると、お茶に誘ってくれた。
彼らの家はほかのと変わらず石積みの塀とレンガと漆喰で固められた典型的な田舎家。
しかしながらその大きさは普通の家3軒分ほどあり、オンボロながら農作業用の車と自家用の車とがあった。
かと言ってお金持ち臭のまったくしない、ほかの人たちと同じように純粋そうな人たちで、
むしろシャイすぎて写真NGだったけど、常に笑顔な素敵ファミリー。年頃の娘さんがかわいかった。
誰もフランス語を話さず(モロッコ人の多くが話す)、もちろん英語もスペイン語も話すことのできなかったものの、
畑の方を指さし問いかけてみると、さらに満面の笑顔になり彼らがその仕事に誇りを持っているのが伝わってきた。
笑顔で見送ってもらった別れぎわ、家の裏側にもトゲの灌木を積んだ作りかけの柵と小さな石の山ができているのが見えた。

他の地域と違ってこの場所で作物を作るということが格段に難しいことだと思う。
しかしそんな中、(計り知れない)努力によってそれは成り立つことであるのは彼らによって証明されていた。
その結果、生活が楽になるということも。
おまけに砂漠化にも一矢報いているというなんとも素敵な存在。
いいなー。
そんなことをぼんやり考えた、お酒のないモロッコのキャンプナイトでした。
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