アフリカ流バイクのエンジン修理は地獄クオリティ・・。 ~無給で働く5才の子どもたち編~
近況(8月14日現在)は、東アフリカのタンザニアに飛び、サプライズで友人に会いにザンジバル島に来ています。
島内でのんびりしつつも、半年ぶりの自転車旅に慣れるために自転車で走り回ってますが、、、
荷物を積んだ自転車ってほんとうに重い。
楽しかった友人との別れもあり、次なる心のより所を求めて?がむしゃらに走ってるうちに半日で80kmも走っちゃいました。
なもんで今日は足腰ガクガクで歩けません(笑)
海沿いのバンガローでビールを飲みながら溜まりに溜まったブログでも書こうかな。
ブログはセネガルでバイクを購入し1月半を掛けた登録を終えついにスタートしたバイク旅!
自転車と比べて快適に効率よく進んで行く旅。
体力を温存し現地人との出会いを楽しむ旅・・。
・・・のはずが、ダカールを出た翌日にバイクが急停止、『エンジン焼付き』というシャレになんない重大故障で、
夕暮れ近くの村にバイクを押してたどり着いたところからはじまります。

まずはちょっと説明。
この場合のエンジン焼き付きとは、
オーバーヒート(異常過熱)でエンジン内のピストンが熱膨張し、
シリンダー内でピストンとシリンダーが溶着(金属が解けて互いがくっつく)した状態。
重度の場合はエンジンをまるまる交換しなくてはならない。
軽度でも修理には特殊な工具、作業者の熟練が必要とされる、重大な故障。

夕暮れ時、故障したバイクを押してジャオベという集落の一番のメカニック(修理屋さん)にバイクを持ち込んだ。
ボスのアマドゥが見解はぼくと同じ。
まちがいなく『エンジン焼き付き』とのこと。
しかし今日はもう日が暮れるので作業は明日の朝から。
辺鄙な村にとつぜん現れた謎の中国人見たさに50人以上の人が集まっていて、
多くの人がうちに泊まっていけと声をかけてくれる。
しかし心身ともに疲れ果てていて、現地家族の中に入り込んでいくのはちょっとキツイ。
ジャオベには宿泊できるような場所はなく、誰かの好意にあまえて家に泊めてもらうしかない・・。
しんどいなぁ・・・
そんな時、ぼくの様子を見たアマドゥが鶴の一声
「彼は疲れてるからホテルに泊まるべきだ。お前たち静かにしろ!!」
ジャオベから20kmほど離れたホテルにでぼくを送るよう計らってくれた。メルシーその気遣い!

テレビ、クーラー、バーまで併設しちゃってるコテージ貸し切りのホテル。
欧米人も泊まっていて英語も通じる。しかしまぁ一泊2800円とお高い。
普段なら何があっても泊まることのないお値段だ。ぐぬぬ・・。
まぁでも今日は疲れた、もう動きたくない。ってかビール飲んですべてを忘れたい。
明日の朝起きたらぜんぶ夢ってオチやったらいいのになぁ。
行き方は、ジャオベのメカニックから東にまっすぐ20分。
適当に左に折れて少し先を右に入ったとこ。ホテル名は不明。14000CFA。

バイクが故障したのはこのドクロのあたり。
この2日後にはNHK『地球ラジオ』に電話で生出演があって、
ギニアビサウで島に渡って釣り生活をリポートしようと思ってたけど、
バイク故障のお先まっ暗などよーんと重い話になりそう・・・

さて翌朝。ホテルにメカニックの若者が迎えに来て、メカニックへ。
左のごっついのがボスのアマドゥ。
黄色のボーダーのおっちゃんはこの村の先生らしく、英語が話せるので通訳をするために学校を放り出してきてくれた。
むっちゃありがたいけど、先生が授業をさぼるって・・・

このメカニック、作業場は日陰もあるけど基本的に日なた。日中45℃にもなるってのに・・。
ってか下が砂地やのに普通にエンジン開けちゃってるけど大丈夫??
バイクの作業開始。と同時に写真に写っている子供たちが一斉にバイクに群がる!!
我先にと奪うようにボルトを外していく。
ひとりなら30分はかかる全てのカウルを取り外し、わずか5分でバイクが丸裸になった!!
にしても、、、
取り外したボルトの場所とか種類とか、ちゃんと覚えてるのか・・・?
固くて外れない場所は力ずくで押したり引いたりするし、かなりひどい。
何十本ものボルトを全部ごっちゃにしてその辺に適当に置いちゃってる。砂がついちゃうよ!
このメカニック大丈夫なのか・・・
そんなノリでバイクからエンジンが下ろされた。ここまで1時間もかかっていない。
キャブレターが砂の上に転がっている・・。
横倒しにしたタイヤの上に子どもが2人座ってんじゃん・・。
ネジも部品もぜんぶその辺にポイ。
どれがどこから外されたかなんて絶対おぼえてねーぞこいつら・・。
ってかこのガキどもはなんやねん!!前後左右上下に人が群がって邪魔で邪魔でしょうがない。
ヒマなのは分かるけど集まり過ぎやろ・・・。うっとおしい。
うぅ、、、胃が痛い・・・。
もし仮りにエンジン焼き付きの修理ができたとしても、作業の荒さのせいでバイクが壊れてしまうと思う。
エンジン焼き付きの部位、エンジンを開け、ピストンを取り外す。
ピストンもシリンダーも1㎜以上の深い傷が全体に及んでいた。焼き付きかぁ・・。
こうなった原因は、
エンジンを冷却するための水(クーラント)がどこかから漏れ出し、
高温になり過ぎたエンジン内のピストンが数百度の熱で膨張し、シリンダー内で詰まってしまったよう。
『エンジン焼き付き』を修理するには、真円(まんまる)に作られているピストンを新しいものに交換し、
シリンダーの真円を崩さないよう精密に傷を削り、段差を無くさなければならない。
しかし案の定、この店にも村にも、若者がバイクを飛ばして探しに行ってくれた近くの大都市シガンショールにも、ぼくのバイクに適合するサイズのピストンはなかった。
いったいどうすればいいのか、途方に暮れる。

このバイクの周りにへばりついている子供たち。
ただ興味本位で集まってきているのかと思っていたけど英語を話す村の教師に聞いてみるとどうやらそうではないよう。
この子たちはこの若さにしてバイク修理屋に働きに来ているらしい。
しかし、彼らは給料をもらっているわけではなく、昼ごはんもボスたちの残り物を分けてもらうくらいで、
技術を得るために自ら進んでタダ働きに来ている。
驚かされるのはその年齢で、5さいくらいの小さな子たちも多く働いていた。
この達の仕事を見ていると、バイクにまたがることもできないような子が工具を使って外装を外し、タンクを外していく。
固く締まったボルトなど力が必要なところは周りの大人に頼みつつ、エンジン内部の修理まで自力でしてしまう。
現地のバイクは中国かインド製のきわめてシンプルな作り。
壊れたときの対処法は限られていて、ある程度の経験を積めばほとんどの故障に対応できる。
とはいえ精密機械のバイク修理。
常識的に考えて5歳やそこらの子の手におえるようなモノでは決してない。
その彼らが給料も与えられないのに毎日ここに通って働くには理由があった。
技術を身につけ20才くらいになると、これまで無給で働いてきた代わりにのれん分してもらえるのだ。
自分の出身地や、メカニックのいない小さな村で店を持たせてもらえるとの事。
日本で5歳と言えばひとりで外を出歩くことすらしない幼い年齢。
その彼らが将来の為にこんなに若い頃から学び、経験を積んでいる。
自分が5歳の頃、いったい何ができたかと考えるとひとりで外出すらできないくらいの幼さだったと思う。
ほんとうに頭が下がってしまった・・。

ひどいエンジンの焼き付きで適合するパーツもなく、万事休すかと思われたバイク修理。
しかしボスアマドゥは傷だらけのピストンを取り外すとおもむろに辺りに放ってあった鉄塊を手にした。
ピストンを鉄塊に押し付け、ガリガリと削り始めたのだっ!!
反射的に「何をすんねんっ!」と止めに入る。
真円を保ちながら0.01mm単位で精密に削らなければならないピストン。
それをいったい、、、
アマドゥ曰く、
「ピストンは非常に硬く鍛造されている。これを削るにはヤスリでは追いつかない。
何にしてもこの深い傷を完全にならしてしまうことは不可能。
仮に完全にならしてしまうことができたとしてもピストンの直径が小さくなりすぎて圧縮が漏れてしまう。
なので、傷のエッジを鉄塊で削り、ピストン往復時にひっかかることがないくらいにしてしまえば、
多少のパワーダウンはあっても、バイクが走るのが可能なくらいの圧縮をだすことはできる」
むむむ・・。
確かにこの作業はひどいもので日本で考えるならありえないような怖ろしく荒い方法。
しかし、専用の工具もないこの状況でもしバイクを復活できるとすればこの方法以外にとる手段はないと言える。
何もしないでただバイクを手放すより、1%でも可能性があるのならそれに掛けるというのは間違ってはいない。
「OK,,, Go」

ピストンをガリガリと削り、シリンダー内にも鉄塊を突っ込んで右に左に上に下にと作業するのを見ていると、目まいがしてきた。
メカニックから離れ一服をしにいく。
これでバイクが走るにしても一度はダメになったものと割り切ってあきらめよう。
砂まみれのパーツやネジを組み付けるところももう知ったこっちゃない。
修理できる可能性なんて5%くらいとしても、良くも悪くも直るか直らないか、50-50に思えた。
朝の8時から始まった作業は夕方4時には終了し、見た目は来た時と変わらないスクーターが組み上がっていた。
砂とオイルにまみれのバイクにまたがりキーをON。スタータースイッチを押してみると、、、
キュルキュルキュル、、、ブオォォーン!!!
故障前と変わらないような音でバイクは始動したっ!!!
しかしこの手洗い作業で精密性を失ったバイクのエンジンは圧縮を失わずに走行することができるのか・・・

しばらくエンジンを温めた後、おそるおそる試走に出てみる。
エンジンが冷えている間は削れたピストンとシリンダーが擦れる甲高いキリキリ音がするものの、走り出すことができた。
10分ほど走り頃合いを見計らってアクセルを開いていく・・・
以前の2st150ccらしい爆速ではないものの、4st90㏄くらいの加速はあった。
旅をするのに問題のないパワー。
この日は30分ほどの走行で切り上げ、翌日にジャオベ村を中心に10km圏内で慣らし走行をしてみた。
1時間ぶっ通しで走ってもエンジンの状態に変化はなかった。
しかしエンジン冷却水の水漏れがあった。
これはダカールを出た時すでに始まっていた故障ではあったけど、
エンジン修理が終わってくみ上げる際に荒い作業でシール部品(水漏れ対策の部品)を傷つけるのを見ていた。
どうせ直らないだろうとその時は何も言わなかった。
半日走行して1リットルくらいを補充すればいいので、今はバイクが走るだけでもありがたい。

まともな工具もないこの環境&ひどい作業でエンジン焼き付きから、復活するとは思ってもいなかった。
請求された修理代は30,000CFA(6000円)。
こちらでの修理代から考えると法外な値段かとも思えたけど、バイクが動くことになったことですら奇跡のようなことで、
みんなのひとつひとつの気遣いで居心地もよく滞在することもできた。
この朝にNHKラジオの出演で出演料ももらえているし、さらにチップも上乗せして気持ちよく支払った。
地獄のような故障を乗り越え、なんとかバイク旅は続けられる!
メルシージャオベ!!また会おう!!
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